福岡県福岡市の筑紫館(のちの鴻臚館、奈良時代・8世紀中ごろ)は、1990年、全国で初めて古代トイレを確認した遺跡である。近世には福岡城、1998年までは平和台球場として利用された遺跡でもある。
ここでは3基の土坑形貯留式(どこうがたちょりゅうしき)トイレが1.8m間隔で設置されているのを確認している。北より1.3m×1.4mの隅丸方形、1.35m×1.2mの隅丸方形、1.1m×4mの隅丸長方形で、深さはすべて4mである。上部構造は削られて不明であるが、便槽内から多量に瓦類が出土することから瓦ぶきの建物であったとみられている。残存する脂質の分析(コプロスタノールとコレステロールの比率)から北の2基の小形トイレは女性用、南の大形トイレ1基は男性用である可能性が高く、トイレの男女の使い分けがあったと推定される。一方、寄生虫卵の分析からは、2つの小形トイレからは豚を常食することで体内に宿る寄生虫、有鉤条虫卵が高い比率で検出されたことから、外国人客専用の個室トイレであった可能性が高いことが指摘されており、性別の違いではなく食文化そのものの違いによるものと考えられている。なお、籌木には木簡再利用のものもあり、その木簡は九州全土(各国)から寄せられたものである。
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京都府向日市の長岡京(784年?794年)では、左京二条三坊三町で土坑形汲取式トイレ1基を確認した。トイレ遺構は長さ1.6m、幅0.26?0.35mの不整長方形、深さ0.3mで南へ行くほど深くなる。